- トップ
- 洗浄システムについて目次
- 炭化水素系洗浄の特徴
炭化水素系洗浄の特徴
炭化水素系洗浄剤は、「フロン」や「溶剤系洗浄剤」が規制強化により使用が難しくなる中で、洗浄性が非常に高い洗浄剤として開発され、工業分野における主要な洗浄剤として普及しております。
この炭化水素系洗浄剤は、真空洗浄・真空乾燥という技術を併用することで、より高い洗浄性、乾燥性、安全性を発揮することが可能となります。
炭化水素系洗浄における真空洗浄・真空乾燥のメリット
炭化水素系洗浄液洗浄剤を使った洗浄では、「真空洗浄+真空乾燥」を加えた「炭化水素系真空洗浄乾燥機」とすることが一般的ですが、そのメリットは以下の通りです。
メリット①:安全性をより確かに
- 真空状態だと火気があっても引火しません
- 引火性のある炭化水素系洗浄剤は大気圧下でのベーパー・蒸気洗浄は危険でしたが、真空下で実施することで安全性を確保しています

メリット②:袋穴・止まり穴の洗浄が可能に
- 径が細い止まり穴、袋穴、隙間が細かいワークは、従来の大気圧洗浄では洗浄液が浸透せずに洗浄できませんでした
- 炭化水素系洗浄における真空洗浄では、真空下と大気圧状態を往復させることで、微細な隙間のある洗浄も可能となります(原理は下図に)
止まり穴・袋穴洗浄の原理

- 大気圧下ではワークの止まり穴や袋穴に入っている空気が抜けずに洗浄液が浸透しません。
- 気圧を真空近くに下げると、空気は膨張し、膨張した分の空気は穴の中から押し出されます。真空度を下げすぎると洗浄液が沸騰してしまうため、真空度の適切な設定も重要となります。
- 再度、大気圧に戻すと、穴の中に残っていた空気は収縮して、洗浄液が隙間に入り、穴の内側まで洗浄液が満たされます。このⅡとⅢの工程を繰り返すことで、穴の中まで洗浄することが可能となります。
メリット③:真空にすることで超音波の効果が数倍に
真空下では大気圧下に比べて超音波がより効果的になります。詳細は多槽式洗浄機CLEANVYのページに記載があるので、ご参照ください
メリット④:真空下だと洗浄液の沸点が下がり、より低温での乾燥が可能
- 気圧を真空に近くすることで沸点の温度を下げることが可能です。
- 沸点が下がることでより低温での乾燥が可能となります。
- 低温での乾燥は、ワークへのダメージや装置への負荷の点からもメリットがあります。
洗浄方法、乾燥方法の組み合わせ
炭化水素系洗浄機の洗浄システムは洗浄要求により、洗浄工程、乾燥工程、洗浄装置の種類、付属バスケットなど、様々な組合せをご提案し、被洗浄物に対して完璧な洗浄システムをご提供いたします。
炭化水素系洗浄で使われる洗浄方法
- 真空洗浄
- 超音波洗浄
- 揺動洗浄・バスケット回転洗浄
- エマルジョン洗浄洗浄
- ベーパー洗浄(仕上げのすすぎ)
- 噴流洗浄
- 浸漬洗浄
※上記の洗浄方法をいくつか組合せることが一般的です。
各方式の詳細は、洗浄システム構築の基本のページをご参照ください
※真空洗浄・乾燥とすると、難洗浄の代表例である、めくら穴(止まり穴)の付いた部品、面と面が張り付いた部品、インサート成型品のインサート部の隙間の洗浄に有効です。
※真空洗浄と超音波洗浄との組み合わせがなぜ有効な方式なのかは、
炭化水素系洗浄乾燥機CLEANVYのページに記載しておりますのでご参照ください。
炭化水素系洗浄で使われる乾燥方法
- 真空(ベーパー)乾燥
- 吸引乾燥
- 熱風乾燥
※現在は真空乾燥が主流になりつつあります。
各方式の詳細は、洗浄システム構築の基本のページをご参照ください。
その他の関連事項
- 蒸留再生(液のリサイクル)が必要かどうか
- バスケット:角カゴか丸カゴ(回転カゴか)
炭化水素系洗浄の工程
炭化水素系洗浄(乾燥機)の洗浄工程は下記のような4工程となるケースが多いですが、ワークの汚れ具合や必要な洗浄度によって、これらの工程は増減します。
工程例
- 第1工程:荒洗浄
- 第2工程:仕上げ洗浄
- 第3工程:すすぎ洗浄(ベーパー)
- 第4工程:乾燥
槽の構成の決定
工程が決まると同時に、それをどう実現するかも検討が必要です。最もシンプルな1工程=1槽とする場合もありますが、タクトタイムに余裕がある場合は1槽で複数工程を行うこともあります。
- 1槽で洗浄・すすぎ・ベーパー・乾燥全てを行うシンプルなタイプ(=ワンバス式)
- 2槽で洗浄工程及び乾燥工程を行う省スペース・低価格タイプ(=ツインバス式)
- 槽を3槽以上にし、真空ベーパー乾燥でタクトを短くする量産向け(=多層式)
弊社のご提案する炭化水素系洗浄システム
炭化水素系洗浄システム(超音波洗浄・真空洗浄)は、炭化水素系溶剤により製品の汚れを強力に除去することができ、より精密な洗浄に適しております。
弊社がご提案する炭化水素系洗浄システムでは、洗浄液HCシリーズと、炭化水素系高性能洗浄機CLEANVYなどの組み合わせがあり、強力な汚れを除去することが出来ます。
また省スペースで真空洗浄・乾燥を実現したい場合には1槽式の洗浄装置もございます。
ご参考:炭化水素系洗浄システムの押さえるべきポイント
良い洗浄システムは次に示す項目を兼ね備えていることが必要です。
優れた洗浄効果を発揮できること
洗浄効果を高めるためには、3つの過程を効率よく実施することが重要です。
①洗浄機能 | 汚れの溶解速度と拡散速度を速める機能 |
---|---|
②洗浄剤再生機能 | 洗浄剤中の汚れを除去する機能 |
③乾燥機能 | 洗浄剤を早く乾燥させる機能 |
被洗浄物ならびに洗浄剤に影響が無いこと
洗浄が完全でも品物が壊れたり傷が付いていては意味がありません。また、加熱方法や材質によっては、洗浄剤の劣化を引き起こすことがあります。品物を傷付けず、洗浄剤に悪影響を与えないシステムであることが重要です。
安全を確保すること
炭化水素系洗浄液は可燃性のため、装置の防爆機能を施すと共に、万一火災になったとき、火災の拡大を防ぐ機能が必要です。また、装置に巻き込まれたり、やけど等を起こさないような構造になっていることが大切です。
(弊社では様々な対策をしており、これらの安全性を確保しております。)
既設の工程に適合すること
決められた量を洗浄することはもちろん、前後の工程の搬送方式をそのまま利用できるシステムであることが必要です。
各種部品の洗浄でお困りの際には、
お気軽にお問い合わせください。
お客様のご要望に合わせた設計も可能となります。